PASONAの法則の実践的活用法|驚きと共感で人の心を動かすLPの構成5つのパターン
こんにちは。セールスコピーライターの石井です。
LP(ランディングページ)を書くうえでは、何をどの順番で伝えるかという構成の型を身に付けることが重要です。
LP構成の重要な法則の1つに「PASONAの法則」がありますが、特にLP前半の書き出しを考えるうえでとても重要です。
PASONAの法則の一般的な解説をした記事はいくつかあるものの、実際にライティングでどう活かすかについてほとんど触れられていないのが現状です。
そのため、「法則はわかってるけど実際にどう活かせばいいかわからない」方も多いかと思います。
そこで今回はPASONAの法則の解説に加えて、実践的に活用できるように、LP書き出しの基本的なパターンをいくつか解説します。
LPの構成を理解するために重要な2つの法則
LPの構成を理解するために知っておきたい重要な法則は、主に2つあります。
1つは「読まない」「信じない」「行動しない」「今すぐ行動しない」壁を超えるという「よしこいの壁」です。
この「よしこいの壁」はLPに限らず、様々な媒体に通用する、何をどの順番で伝えるかを理解するために重要な法則です。
こちらについては、詳しくは以下の記事をご覧ください。
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何をどの順番で伝えるかを理解するうえで、もう1つ重要な法則が今回メインで解説する「PASONAの法則」です。
この2つの法則は、LPの構成を理解するうえで非常に重要な法則なので、両者ともよく理解しておきましょう。
PASONAの法則とは?
PASONAの法則とは、Problem(問題)、Agitation(扇動)、Solution(解決策)、Narrow down(絞込)、Action(行動)の頭文字をとったもので、日本を代表する有名マーケッターの神田昌典氏が提唱する法則です。
なお、神田昌典氏は「稼ぐ言葉の法則」(ダイヤモンド社)という著書のなかで、PASONAの法則を改良した「新PASONAの法則」について提唱しています。
とはいえ、「旧PASONAの法則」も「新PASONAの法則」も本質は大きく変わりません。
そのため、本記事では従来の「旧PASONAの法則」を例にして、部分的に「新PASONAの法則」と比較して解説します。
Problem(問題提起)
消費者の悩み事(○○できない、〇〇に困っている等)や欲求(○○したい、〇〇になりたい等)を顕在化して問題提起する項目です。
「こんなお悩みありませんか?」
「こんな方におすすめです!」
「1つでも当てはまる方はぜひお越しください」
と箇条書きで書かれた項目を見たことがある方も多いと思いますが、これが問題提起の1つの例です。
消費者の悩みや欲求に寄り添いながら、自分事として捉えてもらう項目です。
Agitation(扇動)
「問題提起」と後述する「解決」を繋いで消費者の心をつかむ項目ですが、文字のままに「扇動」と解釈するのはおすすめしません。
「扇動」は「人の気持ちを煽り立てて行動を促す」という意味ですが、あまり不安や危機感を煽ると次のように消費者が気分を害してしまい、逆効果になりかねないためです。
- 目を背けてしまう(問題から逃げたくなる等)
- 自分を否定されたような気持ちになる(だから私は悪いんだ……等)
- 反発感情を生んでしまう(そんなことないよ!等)
問題の深刻さや実態を示すのは重要ですが、必要以上にネガティブな感情を抱かせてしまうことは避けるようにしましょう。
そのためか、新PASONAの法則では、「扇動」に代わって、同じ境遇を共感しながら描写する「Affinity(親近感)」が提唱されています。
「扇動」と「親近感」の違いを言うと、大まかには次のような例です。
【扇動】
「売上が上がらなくて困っている」
⇒「だからだめなんです! 今のままでは自己破産しますよ」
【親近感】
「売上が上がらなくて困っている」
⇒「そうですよね……私はもっとひどくて自己破産寸前まで追い詰められました」
ただ、扇動部分は、「親近感」以外に他の表現方法があり、個人的にはコンテンツに応じて使い分ける必要があると感じています。
この扇動に該当するパーツは、LPの書き出しで重要なところなので後ほど詳しく解説します。
Solution(解決策)
悩みを解決したり、欲求を叶えたりするための解決策を示す項目です。
商品・サービスを使うベネフィットや他商品との違いを明確に伝える必要があります。
なお、新PASONAの法則は、「解決策」が2つに分けられており、「Solution(解決策)」と「Offer(提案)」に分けられています。
「Offer(提案)」とは、「無料1ヶ月お試し」「体験セッション」など、解決策を導入するための魅力的なオファーのことです。
Narrow down(絞込)
「先着〇名」「お申込みは〇月〇日まで」「この価格での提供は〇日まで」など緊急性・限定性を伝える項目です。
Action(行動)
購買行動を呼びかける箇所で、主に申込ボタン周りのコピーに該当します。
【PASONAの法則活用法】人の心を動かすLPの書き出し5つのパターン
PASONAの法則のなかで、「問題」「扇動」「解決」の3つは、問題を自分事と捉えてもらい、解決策を示す重要な項目です。
「よしこいの壁」で言うところの、消費者に興味を持ってもらえるか否かを大きく分ける「読まない」の壁に相当し、ファーストビューの次に重要な項目です。
そのため、「問題」「扇動」「解決」は1つのセットと考えて、以下の構成例のようにLPの前半部分に配置します。
以下は例としているものの、今まで何十本か手掛けてきて、以下の構成以外でLPを書いたことがありません(実績・権威性やお客様の声は前半ではなく後半に入れることもあります)。
【LP前半の構成例】
ファーストビュー(ヘッダー)
↓
強い実績・権威性(メディア出演、本の出版、口コミランキング等)
↓
強いお客様の声・ビフォーアフター
↓
問題提起
↓
扇動
↓
解決
先ほどお伝えしたように、問題提起から解決の間の「扇動」部分は、いくつかパターンがあるので、詳しく解説します。
共感・同意・親近感
先ほど解説したように、消費者の悩みや欲求を言い当てながら、寄り添い、共感し、親近感を誘います。
先ほど紹介した「私も以前は同じことに悩んでいました」と同じ境遇を示すのは、共感を呼びやすい方法の1つです。他にも、
「もっとこうすると良いですね」
「そこまで頑張らなくても大丈夫です」
「我慢して○○するのはもうやめましょう」
「もっとお金と時間を減らしたいですよね」
「こうすれば、もっとあなたの魅力を発揮できます」etc……
このように、消費者を否定せず、「あなたは悪くない」と共感しながら悩みに寄り添い、同意することがポイントです。
常識破壊・衝撃の事実
消費者の思い込みや信念を破壊したり、知らなかった衝撃の事実を与えたりして驚きを与えます。
「好きな食べ物を我慢するほど太る」
「優しく接するほど社員が辞める」
「家計簿を付けるほどお金は貯まらない」
「実は○○は使い方によっては逆効果です」
「実は○○のデータでは△△であることはご存知ですか?」
消費者に驚きや好奇心を与えることができ、強い興味・関心を持ってもらうことができるので先を読み進めてもらいやすくなります。
また、ターゲットをより明確にしたり、他商品との違いを示したりしやすい手法の1つなので重宝します。
強烈に煽り立てるのではなく、「気付きを与える」「実態を知らせる」くらいの感じで表現するのがポイントです。
常識破壊や衝撃の事実については、以下の記事でどのように引き出すか書いていますので参考にしてください。
【関連記事】「フロントセミナー集客数」と「バックエンド商品の成約率」を両方上げる方法
権威・実績・データ
強い実績・権威性や、説得力のあるデータ、著名人の使用などを示して、商品・サービスの凄さ・魅力を正確に伝えます。例えば次のようなものです。
- 世界で〇〇万個以上売れた
- 200人中197人が〇〇できた
- ノーベル賞受賞者のメソッドをもとにして開発
- 世界に数人しかいない職人が開発
- 世界的な大手企業も採用している……
また、商品・サービスの権威性だけでなく、省庁や大手企業の調査結果・統計なども強い説得材料になります。
「〇〇省の調査結果によると、93.2%が△△であることがわかりました」
↓
「だから、実は△△はとても求められているのです」
↓
「でも、どうやったら△△を手にすることができるのでしょうか?」
「〇〇のデータでは年○%も物価が上がっています」
↓
「でも○○の調査によると日本人の平均年収は全然上がっていません」
↓
「このまま物価が上がり続ければ老後に必要なお金は〇〇〇〇万円です」
↓
「給料そのままで出費が増える時代に老後の資金をどう確保しますか?」
と、揺るがない信頼性のあるデータで必要性を示して展開するのも1つの手です。
物語・ストーリー
「問題提起」「扇動」「解決」までを物語調で伝える方法も昔から使われています。
有名なところでは、世界で最も売れたセールスレターと言われている「ウォールストリート・ジャーナル」のレターです。
原文はGoogle検索すればすぐに調べられるので詳細は割愛しますが、大まかな内容は次のようなものです。
「25年前の春、二人の若者が同じ大学を卒業しました」
↓
「一人は小さな部署のマネージャーで、もう一人は社長になっていました
↓
「何が違ったのか?」
↓
「持っている知識と、その活かし方です」
↓
「知識を提供できるウォールストリート・ジャーナルを読みましょう」
この「Aさんは成功してBさんは失敗した」という物語調の構成は、昔から見られる構成の1つです。
ただ、煽りが強くなりがちなのか、「成功Aさん失敗Bさん」の構成は最近見ない印象があり、私もこのパターンはほとんど使いません。
もう1つ、物語調のパターンとして代表的なのが漫画LPです。
「問題提起」「扇動」「解決」の部分が、進研ゼミの販促DMのような漫画で構成されているLPです。
漫画にすることでLPが読みやすくなりますし、親近感や共感を持ってもらいやすくなります。
「問題提起」⇒「解決」(扇動部分の省略)
思い切って「扇動」部分を省略し、「問題提起」からいきなり「解決」を導入することもあります。
具体的には、
「こんなお悩みありませんか?」
↓
・悩み1
・悩み2
・悩み3
・悩み4
・悩み5
↓
「これを解決するために必要なのは、〇〇と△△です」
このように、問題提起から直接解決方法に誘導します。完全に省略しないまでも、扇動部分を2~3行で抑えることもあります。
特に、次のような場合は扇動部分を省略することがあります。
- 強い説得力のあるお客様の声やビフォーアフターが多い場合
- ターゲット層がプロセスよりゴールを重視する場合(特に男性)
この場合は、消費者は「早く解決方法を知りたい」と考えるので、早めに解決方法を提示することも有効です。
【まとめ】重要なLP前半の構成パターンを身に付けよう
以上、PASONAの法則をもとにして、LPの前半書き出しの構成のパターンについて解説しました。
LPは上から下に画面をスクロールして読まれるものなので、LPのファーストビューや前半の書き出し部分はとても重要です。
本記事で解説したようにいくつかパターンがありますので、コンテンツに応じて適切にあてはめて実践に活かしてください。
なお、本記事で解説したことは、コピーライティングのノウハウの1つです。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※一般社団法人セールスコピーライティング普及協会のホームページより移行した記事です。
この記事を書いた人
セールスコピーライター/ブックライター 石井 裕 ▶Facebook
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