「書けないのはなぜ?」ライターが原稿を受注するときに確認すべきこと

こんにちは。
セールスコピーライターのかみばやしです。
お仕事をいただけることは、ライターを何年やっていても嬉しいものです。
ですが、ときどき「書けそうだと思ったのに、うまく書けない…」という状況に陥ることがあります。
締切りは刻々と迫っているのに、手も頭も止まってしまう。
こういう場合の原因は明らかで、ズバリ、“原稿を書くための材料不足”!
材料不足の原因は、ライターにあったり、クライアントにあったり、双方のコミュニケーションの問題だったり様々です。
今回は、ライターが「書けなくなる」理由と、そうならないために受注前に確認すべきポイントを紹介します。
ライター向けの記事ですが、クライアント(発注側)・ライター(受注側)どちらにとっても、スムーズな制作進行のヒントになれば幸いです。どうぞ最後までお読みくださいね!
書けないのはなぜ?ライティングの前にある“壁”
ライターの手が止まる背景には、「書けない」以前の問題が潜んでいることが往々にしてあります。まずは、このライティングの前に衝突している “見えない壁”を確認していきましょう。
プロモーションの全体像が決まっていないから、書けない
セールスコピーライターは、案件を受けるにあたり、お客様に最も効果が高い制作物をお届けするために、制作物の使用シチュエーション、目的、使用の流れの前後関係などにあわせて、とても細かい設定をしてライティングを行います。
ですが、例えば「集客のためのLPを書いてほしい」と依頼されたものの、打ち合わせをしてみると、以下のような重要な条件が曖昧なまま、というケースも少なくありません。
- 誰に向けた原稿なのか?
- 何を伝えたいのか?
- プロモーション全体の最終ゴールは何なのか?
「とりあえずお客様の最初の受け皿となるリスト取りのLPを書いて!」と依頼があったとしても、最終的に売りたいバックエンドが決まっていない、という場合、「とりあえず入り口だけ」と言われても適切なLPを書くことは難しいのです。
なぜなら、プロモーション全体の設計図がない中、「一部分だけつくって」と言われている状態だからです。
極端な例かもしれませんが、あなたは設計図がない状態で「とりあえず」建てられた家に住みたいと思うでしょうか?
私だったらイヤです…。
なぜなら、「とりあえず」でつくられた部分の集合で作られた家は、全体の動線が複雑、無駄な空間が存在するなど、住みづらい家になるでしょうし、構造上問題のある危険な建築物である可能性が高いと考えるからです。
これと同じで、プロモーションの全体像が見えない状態で、不確定要素が多いまま原稿制作に進むと、ライター側が内容を“察して”書くしかなくなります。
すると、後から「意図と違う」、依頼された制作物内で語られるメッセージがプロモーション全体で見た場合にちぐはぐになる等の問題が発生し、無駄な修正工程が繰り返すことになります。修正して済めばまだ良いのですが、「この文章は使えないから、払えない」といった予期せぬトラブルに発展することもあるので、注意が必要です。
この場合、ライターとしての選択肢は3つです。
- 必要な材料がそろうまで待つ
- 断る
- 必要な材料を一緒にそろえる
私がおすすめするのは「3. 必要な材料を一緒にそろえる」です。以下に詳細を解説します。
決まっていないなら、コンサルとして受注しよう
プロモーション全体の方向性がまだ固まっていない段階であれば、それは「ライティング案件」ではなく「コンサルティング案件」です。
今の状態では材料が足りておらず、まずはプロモーション全体の設計を決める必要があることをクライアントに伝えましょう。そのうえで、一緒に設計から考える方法を提案します。
そして「コンサルティング+ライティング」の両方が必要であるということであれば、当初の見積もりやスケジュールを組み直すのです。
この点を曖昧にしたまま進むと、ライターは不要なプレッシャーにさらされ、クライアントは「なんとなくでも頼めるもの」と誤解してしまいがちです。
事実を客観的に伝えるのは、問題の所在が見えているライターの役割ですので、誠実にお伝えしましょう。
受注前に確認しておきたい項目リスト
「迷子のまま書き始める」事態を防ぐには、受注前のヒアリングがカギになります。ここで最低限押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。
最低限チェックすべき5つの項目
ライターとして安心して、またクライアントに最大限の成果を届ける制作物を書くために、以下の5項目は必ず事前に確認しておくべきです。
納期 |
クライアントのプロモーション予定から逆算し、レビュー期間や修正回数を含めたスケジュールを作成。あらかじめクライアントと共有しておきましょう。 |
誰に何を届ける原稿なのか |
読者(=ターゲット)が誰なのかによって、言葉遣いも構成も変わります。 |
関係者は誰か |
コンサルタントやプロデューサーなど、クライアント以外の意思決定者がいるのか否かを把握しておきましょう。 内容についてクライアントと合意しても、全体を指揮する意思決定者の意向からズレると修正が増える原因になります。クライアントを通じて関係者と顔合わせし、意思決定者とライターが直接連絡を取れるようにしておくのがお勧めです。 |
LPならデザインやコーディングの担当者がいるか |
テキストの原稿だけで完結するのか、それとも別チームとの連携が必要なのか確認しましょう。クライアントの希望によっては、ライター側でデザイナーやコーダーを紹介・手配するケースもあります。 |
目的(コンバージョンポイント)は明確か? |
問い合わせ、購入、資料請求など、制作物を見た読者に「何をしてほしいか」を明確にします。 |
上記5つは、最低限の「書く前提」です。
さらに深堀りした確認項目については、こちらの記事をご参考ください。
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ライティングの鍵は“ヒアリング力”にあり
原稿のクオリティは、書き始める前にほぼ決まっています。どんな仕事も「準備8割」とはよく言われることですが、ライティングもご多分に漏れず。
ライティングの場合、「ヒアリング」が重要な準備部分になります。
書く前のヒアリングで8割決まる
ライターが仕事を受注する場合、必ずクライアントにヒアリングをします。
その「ヒアリング」は、クライアントの話をただ傾聴するだけの時間ではありません。
「誰に」、「どんな目的で」、「何を伝えるのか」、ライター側から様々な質問をすることで、制作物に必要な “材料”を引き出し、クライアントの”設計図”を共有してもらう作戦会議の時間です。
例えば、
「この文章は誰のために書くのですか?」 「この文章を読んだ人に、どんな行動をとってほしいですか?」 |
といった問いは、シンプルながら非常に重要ですし、初期段階で情報の抜け漏れを防ぐために欠かせない内容です。
また、ライターが質問してクライアントの中から引き出したイメージを言語化し、双方の完成イメージを揃えておくことで、あとから迷走するリスクを減らせます。
つまり、「的確な質問ができるかどうか」が、ライターとしての腕の見せどころのひとつですね。
ヒアリングについては、以下の記事もご参考ください。
受注前ヒアリングと、執筆前ヒアリングは別物
「ヒアリング」と一言で言っても、2種類あります。
ひとつは、契約前の「クライアントの意向を聞き、信頼関係を築くためのヒアリング」。
もうひとつは、契約後の「制作物原稿を書くために必要な具体的な内容を深堀りするためのヒアリング」です。
前者では、クライアントの要望や予算、納期感などを把握して、ライターとして仕事を受けるかどうかの判断を行います。
一方後者を行うタイミングでは、既に受注は確定し、契約済みの状態です。だから、実際に制作物原稿を書くための情報を整理し、構成やトーン、流れなどをヒアリングしながら、決めていく工程になります。
どちらも大切なプロセスで、おざなりにしてしまうと、執筆時にズレやトラブルが生まれがちです。
「いつ・どこまで聞くか」もライターの重要なスキルであると言えます。
まとめ
「原稿が書けない」という状況の多くは、“前段階の材料不足”から生まれます。。そして、その原因はライターのヒアリング不足だったり、クライアントの”設計図”が曖昧なことだったりするのです。
もちろん、材料が揃っているのにも関わらず、リサーチやヒアリングができずに書けないという場合は、ライターのスキル不足ですので、真摯に受け止め、経験を前向きに積む必要があります。
誰に、何を、どんな目的で、どんな流れで伝えるのか。 |
依頼された制作物の前後のお客様の行動や心理、流れはどのようなものなのかも含めた全体設計を把握してこそ、セールスコピーライターは本来の力を発揮できます。
だからこそ、セールスコピーライターは「ただ書くだけ」の存在ではなく、プロジェクトの成否を左右するパートナーになり得るのです。
“伝わる原稿”を書くために、まずは“前提となる材料”を整えることから始めましょう。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
この記事を書いた人
セールスコピーライター
かみばやし りつこ ▶Facebook
15年以上に亘り事業会社の企業法務、内部統制の担当者として数社を渡り歩く。契約書の作成・チェックを始め、社内業務の文書化を手がけた件数は1000件超え。 働き方に悩む中、相手の真意や懸念点を正確に読み取り言語化してきた経験が活きると感じ、セールスコピーライティングを学ぶ。事実を正確に伝えることに加え、人の心を動かすライティングの手法を習得し、2019年3月に独立。 不動産・投資・美容・教育関連などのライティング、セミナー講師など幅広く活動中。