ターゲットの感情を揺さぶるGDTの法則を正しく使いこなそう

こんにちは。セールスコピーライターの石井です。

セールスコピーライティングでは、よく「ターゲットの感情を動かす」「読み手に寄り添った文章を書く」と言われます。

文章で「感情を動かす」「寄り添う」「心を揺さぶられる」というと、何か特別な技術が必要なように思われがちですが、実は決まったパターンがあります。

そのなかの方法のひとつが「GDTの法則」と呼ばれる、人間が持っている9つの欲求です。

コピーを書く際は、GDTの法則を意識して、推敲する際はGDTの法則に当てはまっているか確認することをおすすめします。

ただしGDTの法則を過剰に意識しすぎると、逆にターゲットから違和感を覚えられてしまうこともあるので注意しましょう。

GDTの法則とは?

GDTの法則とは、DRMの世界で有名なマイケル・フォーティンが考案した、人間の持っている欲求を3つのレベルで表したものです。

この3つの頭文字を取って「GDTの法則」と言われていますが、この欲求は次のようにさらに3つに分類され、計9つの欲求が含まれています。

Goal:目標

Desire:欲望

Teaser:本性

①時間かけたくない

④富・名誉が欲しい

⑦希少性が気になる

②努力したくない

⑤愛・性欲が欲しい

⑧好奇心が気になる

③お金使いたくない

⑥快適が欲しい・不快を避けたい

⑨反社会性が気になる

ちなみに私はこのGDTの法則を、セールスコピーライティングで重要な法則の1つと捉えてPCの壁紙にしています。

この3つのレベルで分類した欲求ですが、強さに順番があり、次の順番と言われています。

Teaser(本性)>Desire(欲望)> Goal(目標)

つまりGDTの法則に当てはめれば、人間は何も求めなければお金も時間もかけないし、努力もしません。

しかし、「富や名誉を手にする」「性欲を満たす」「快適を手にする」ためにはお金や時間、労力をかけます。

さらに希少価値が高くて、好奇心や反社会性を煽るものに非常に弱い生き物。それが人間ということです。

たしかにすごく納得感がありますね。

Goal(目標):人間が絶対に避けたい3つのNOT

「Goal(目標)」は、GDTの法則のなかでは、一番弱い欲求とされていますが、重要でないわけではありません。

ターゲットが求めるベネフィットを提供することを大前提としても、極力お金も時間も労力もかけたくないものです。

商品・サービスにこの3つのNOTを満たす要素がないか、必ず確認してからコピーを書くようにしましょう。

①時間をかけたくない

いわゆる「時短」ですが、これは大まかにわけて2つの意味があると考えています。

1つは、人間はなるべく最短で目標を達成したい生き物である点です。

例えば、ほとんどの人は3年後に売上が3倍になるよりは、3ヶ月で3倍になる方を望みます。

もう1つは、忙しい現代人はあまり時間を使いたくないという点です。つまり、生産性の高さですが、後述する「努力したくない」に近いところもあります。

例えば先のビジネスの例で言えば、1日に働く時間が長いより、短くして売上を上げることを望みます。

「働く時間1/3で売上3倍」のような訴求です。

このような時短を訴求するキャッチフレーズの例は、次のようなものがあります。

②努力したくない

人間は、できるだけ努力したくありません。

歯を食いしばって頑張りたくありません。

我慢しながら生きるのはしんどいです。

苦しいことなんて味わいたくありません。

そう、人間は楽に目標を達成したいのです。

「〇〇不要」「〇〇だけ」という訴求も、この「努力したくない」を満たす訴求です。

また、「汗水垂らして働くほど売上は下がります」「ジムに通ってもサプリを飲んでも痩せません」といった常識破壊も「努力したくない」を満たす訴求と言えます。

つまりセールスコピーでは、努力・根性の必要性を訴えても逆効果ということです。

コピーを推敲する際は、どこかストイックに努力して目標達成したというような書き方になっていないか注意してください。

キャッチフレーズの例としては次のようなものがあります。

③お金をかけたくない

将来的にリターンがある自己投資ならともかく、人間は無駄なことにお金は使いたくありません。

特に高いお金は払いたくないものです。

そのため、申込みボタン周りでは、二重価格表示や割引率などはなるべく使うようにしたいところです。

また、ある程度の高額商品であれば、自己投資する価値、後述するDesire(欲望)を満たすことを伝えたあとに価格を表示するようにしましょう。

なぜなら、Desire(欲望)> Goal(目標)なので、価値教育を十分した後であれば納得してお金を払ってもらえるからです。

バックエンド商品であれば、まずはフロントエンド商品を試してもらってからバックエンド商品の購入を促すのも同じ理由です。

このように、価格を表示するタイミングには注意してください。

Desire(欲望):人間が生まれつき本能的に持つ3つの欲望

Desire(欲望)は、先の「時間かけたくない」「努力したくない」「お金かけたくない」を上回る欲求です。

商品・サービスにもよりますが、ターゲットが求めているニーズを表現するうえで重要になるので、コピーを書く際は意識するようにしてください。

なお、これはダイレクト出版の「現代広告の心理技術101」で書かれている有名なLF8にも共通するところです。

④富・名誉が欲しい

要は成功したいという欲望です。

有名なLF8で言えば「他人に勝り、世の中に後れを取りたくない」「社会的に認められたい」が近いところです。

「TOP1%」「地域No.1」なんかが、この訴求を満たす代表的な表現と言えます。

また、このような名声的なものだけでなく、「感謝された」「喜ばれた」「あなたにお願いしてよかった」などの表現も、この欲望の範囲と言えます。

⑤愛・性欲が欲しい

「愛・性欲が欲しい」は、特に恋愛や婚活系、健康・美容系の商品・サービスでは重要な欲望の1つです。

LF8で言うところの「性的に交わりたい」「愛する人を気遣い、守りたい」に近いところがあります。

具体的には「モテたい」「美しくなりたい」「痩せてきれいになりたい」「愛されたい」のような欲求です。

もちろん、恋愛や婚活系、健康・美容系に限った話だけでなく、次のように副次的なメリットとして表現してもいいでしょう。

⑥快適が欲しい・不快を避けたい

誰でも人間は快適に生きたいですし、悩みや苦痛、将来の不安はないに越したことはありません。

LF8の「恐怖、痛み、危険を免れたい」「快適に暮らしたい」に近い欲求ですが、かなり幅広い意味を持ちます。

具体例では病気や症状をなくしたり、人間関係や夫婦関係をよくしたり、お金の不安がなくなったりすることです。

有形商品では無臭、防水加工、「コンパクトでかさばらない」なんかも不快を避ける要素です。

「快適が欲しい・不快を避けたい」は幅広い意味を持ちながらも、非常に重要な欲求です。

これを的確に表現するには、ターゲットの属性・感情に加えてベネフィットを具体的に知ることが何より重要です。

Teaser(本性):人間が衝動的に行動を起こしてしまう3つの本性

Teaser(本性)は、人間が絶対に逆らえないもっとも強い欲求と言われますが、私個人的には薬にもなり毒にもなるところかと思っています。

特に「好奇心が気になる」「反社会性が気になる」は、かえって煽りが強すぎてターゲットに違和感を持たれる可能性があります。

商品・サービスによっては強力な武器になりますが、場合によっては逆効果になったり、かえって訴求が伝わらなかったりする危険性があります。

煽りが空回りしてかえって拒絶反応を与えてしまうということもあるということです。

不必要に煽りが強い文章をたまに見かけるので注意してください。

⑦希少性が気になる

希少性とは、要は代表的なところが「先着〇名」「〇月〇日までの限定販売」などの限定性です。

「あと3日」「今日で募集終了です」「満席の日程が増えています」「あと2人で満席です」といったものも希少性・限定性に訴えた表現です。

もちろん事実でなければ誇大広告になってしまいますが、事実であればしっかりと訴求するようにしましょう。

⑧好奇心が気になる

人は意外性があったり、好奇心をそそられたりするようなものが気になってしまいます。

意外性や好奇心に訴える1つの方法が、ターゲットの思い込みや信念、固定概念を破壊するものです。

「貯金3000万円以上持っている人で倹約家はわずか3%」のようなものです。

これを表現するには、「お客さんのやりがちな間違い」「お客さんに意外!と言われたこと」を抽出する必要があります。

また、「三ツ星ミシュランのシェフがうなったカップラーメン」のように権威性を逆手に取るのもいいでしょう。

⑨反社会性が気になる

反社会性と言っても、犯罪的なことではなくて、思わずドキッとしてしまうような表現のことを指します。

「この事実を知ってください」「知りたくない方は続きを読まないでください」「〇〇には知られたくない」などのような文言です。

YouTubeのタイトルによくある「閲覧注意」なんかも、ドキッとしてかえって見たくなりますね。

ただし、不必要に使ってしまうと、煽りが強すぎてかえって空回りになることがあるので注意してください。

【まとめ】リサーチとヒアリングを徹底すればGDTの法則は満たせる

以上、GDTの法則についてお伝えしました。

実は、GDTの法則で語られている「9つの欲求」については、以前お伝えした「10の要素」を把握すれば十分表現可能です。

【関連記事】【永久保存版】ライティングで売上激増を実現するリサーチ&ヒアリングのコツ

あくまで大切なことは、ターゲットが本当に求めていることや感情に寄り添うことです。

GDTの法則はそのために活用できる手段で、表面的に表現しようとすると逆効果になることもあるので注意してください。

また、コピーを書いた後に、GDTの法則を満たした表現ができているかどうか、推敲するようにしてください。

特にヘッダーやサブキャッチでは意識しましょう。簡潔に刺さる表現ができるようになります。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※一般社団法人セールスコピーライティング普及協会のホームページより移行した記事です。

この記事を書いた人

セールスコピーライター/ブックライター                                                                           石井 裕 ▶Facebook

魅力とウリを掘り起こす セールスポイント言語化マニア ▶︎求人サイトで応募数前年比4倍、チラシでは反応率0.1~0.3%が標準といわれるなか最大23%、LP&ステップメールで申込数過去最大などモンスター級の成果をたたき出す。またブックライターとして書籍制作にも多数関わり重版出来多数。 ▶︎趣味は県境巡りで2009年『県境マニア』を出版。TBS「ゴロウデラックス」「マツコの知らない世界」、などメディア出演多数。